penguin

サウサンプトン大学の博士課程にいる学生のジェマ・クルーカス(Gemma Clucas)氏らの612日付の「サイエンティフィック・リポーツ」(Scientific Reports)誌に掲載された論文記事によると、地球温暖化が南極にいるペンギンたちのうち、アデリーペンギンとヒゲペンギンの個体数減少に影響しているとの研究結果が得られたそうです。

 

南極に生息するジェンツーペンギン249羽、ヒゲペンギン166羽、アデリーペンギン122羽の遺伝子について、DNA塩基配列解読法を用いて分析したところ、いずれも過去に南極の氷床が最も大きくなった「最終氷期極大期」のあとから個体数を増やしてきたことが判ったそうです。つまり、数千年にもわたる過酷な自然環境に順応し、何とか3種のペンギンはその危機を乗り切ってきたようなのです。そして、約15000年前頃から氷が南極海を覆う面積が小さくなっていったところで、ペンギンたちが営巣することのできる地表が増え、個体数が増えていったようなのです。

 

しかし、昨今の西南極で顕著に見られるようになった地球温暖化の影響で、アデリーペンギンとヒゲペンギンが主な餌にしているオキアミが減ってしまっているのです。オキアミの生育には海氷が必要。同じくオキアミを食べるクジラの数も回復してきたので、食べるものが減ってきてしまっているのです。今回の論文では、ジェンツーペンギンだけは、オキアミ以外にも小魚やイカなども食べるので、海氷の減少によるオキアミの減少の影響を回避できているらしいというのです。

 

クルーカス氏によれば、ペンギンたちは海氷が多すぎても少なすぎても、環境の変化に対応して切り抜けられる能力を持っているそうです。しかし、「私たちは今、彼らが過去に見せたのとは大きく異なる反応を目にしている」とコメントしています。

 

さて、過去の正常な気候変動の範囲にわれわれの人為的な影響力が加わってしまったことによって、ペンギンの個体群の応答のしかたまで左右してしまうことをどのように考えたらいいでしょうか。私たちは遠い南極の動物たちのために何ができるのでしょうか。

 

http://www.nature.com/srep/2014/140513/srep05024/full/srep05024.html