海水浴や釣りに出かけた時に、捨てられた釣りの仕掛けや漁師が放棄した漁具を見たことはありませんか。そのような漁具は、放置された後も思いのほか多くの魚やタコ、カニなどの水棲生物の命を奪っているのをご存知でしょうか。

 

このような放棄された漁具を「放置漁具」と呼び、サンゴも含む多くの生物たちがこの影響を受けてしまうことを「ゴーストフィッシング」と言います。

 

アメリカでも数多くの漁具が流され、あるいは投棄されて、放置漁具となって多くの魚類や水棲生物を捕獲し続けています。アメリカ海洋大気庁(NOAA)の海洋ゴミプログラムが、調査報告をMarine Pollution Bulletin(海洋汚染公報)に公表し、「ゴーストフィッシング」問題が生態系・漁場等の劣化を持たらしていると報告しました。

 

この報告では、全米7つの漁場で行った調査をもとに、各漁場の問題の深刻度を比較して、共通課題を検討するとともに、放置漁具が1平方キロメートルあたり平均5個~47個もあることを報告しています。NOAA海洋局は、漁具の構造による自然環境への残留期間を推定した調査結果も報告しており、放置漁具は漁獲対象の種だけではなく、絶滅危惧種等も捕獲してしまうと指摘しています。さらに、サンゴ礁などの脆弱な生息環境も損ねる危険性もあるそうで、漁場への累積的な影響は予想以上に大きいようです。

 

NOAA海洋局はこの問題について、各漁場間の共同のアプローチを重視した戦略を提言しています。「ゴーストフィッシング」の水産資源への影響の調査や問題解決へのプロジェクトに漁業関係者を巻き込んでいくようです。

 

では、日本の海の現状はどうでしょう。多くの釣り人が放棄された釣りの仕掛けを釣り場で目にする他、各地のダイビング愛好者から「ゴーストフィッシング」の問題を指摘する声が上がっています。これに問題認識や解決の糸口を持たらすべき管轄の官庁は、環境省になるのでしょうか、それとも農林水産省になるのでしょうか。はたまた、NGOの活躍が期待されるのでしょうか。

 

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写真提供:隠岐の国ダイビング