環境汚染物質が国境を越えて運ばれ、汚染物質を発生させていない国にも被害をもたらすことを「越境汚染」と呼びます。古くは、ヨーロッパでイギリスやドイツの工業地帯から排出された硫黄酸化物や窒素酸化物が、遠く離れた北欧の森林に「酸性雨」として降り注ぎ、甚大な被害を出したのも越境汚染が国際的な問題であることが広く知られたきっかけでした。

 

昨今の日本では、中国大陸から飛来する汚染物質が大きな問題となっています。中国の工業化が急激に進むのにつれて、2007年の春から夏には、西日本を中心に光化学スモッグ注意報が多く発令されましたが、これは大陸から越境してきた窒素酸化物などが原因であったと言われています。また、2013年にも関東地方を含む、日本の広い範囲で黄砂に取り込まれた汚染物質がやってきました。多くの報道機関もこの現象を取り上げ、「PM2.5」という言葉が一般的に広く知られるようになったのもこの頃です。大気中には浮遊している物質(エアロゾル)が様々にありますが、「PM2.5」はその中でも直径が2.5μm以下の極めて小さな粒子状の物質のことです。

 

大陸の大気汚染が深刻になるのは主に冬のことです。中国では暖房に石炭を使うことが多い上に、冬は大気が安定していて、汚染物質が発生したところに留まることが多いからです。一方、PM2.5の大気汚染が大陸から日本へやってくるのは、主に春です。大陸の空気が偏西風に乗って日本へ移動しやすいのが春だからなのです。

けれども、日本国内のPM2.5濃度が高くなるのは、必ずしも大陸からの越境汚染によるものだけとは限りません。首都圏や工業地帯の近くなどで、日本国内を発生源とするPM2.5濃度の上昇が起きないわけではありません。

 

日本の発案で汚染の実態を把握し、対策を立てるために設立された「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」が2001年から稼動しています。しかし、国際的な観測ネットワークや越境汚染を軽減させるためのルールづくりは、欧米に比べて遅れていると言われています。特に汚染物質がどのように大陸からやってくるのか、その飛来機構の解明は複雑な気象の構造とも関連して非常に難しくなっています。

 

グリーンブルーでは、このような越境汚染を実際に測定することで、実態の把握と解明に貢献すべく、様々なサービスを提供しています。これまで地上の平面的な把握では、PM2.5測定器の販売や設置保守業務。大気汚染常時監視テレメータシステムでは、いち早くPM2.5の項目追加に対応しました。そして今、立体的に空中の汚染物質を捉えるために、ドローンによるPM2,5の測定を行っています。

 

これまで上空の汚染物質の測定は、航空機を用いて数千メートル上空で実施したり、タワーやクレーンに乗って数十メートルまで測定器を上げたりして行っていましたが、その間の空間で起きている大気中の汚染物質の流れや変化は十分に把握できておらず、シミュレーションに依存している部分がありました。グリーンブルーで提供しているドローンによる大気環境調査を用いれば、この空間の濃度の把握が実際の測定でできるようになるのです。

 

この春も大陸からやってくる黄砂やPM2.5の飛来を把握するため、ドローンパイロットを含む調査隊の一団が九州北部地方の遠隔地に赴いていました。今まで誰も測定してこなかった領域から、我々のドローンが刻一刻と測定データを送ってくるようになりました。

DJI

 

今日はそのドローンが上空で撮影した九州地方の空の写真をご紹介します。今後も興味深いデータを我々にもたらしてくれることを期待しています。


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