月に入ってから梅雨前線の線状降水帯が停滞することによって発生した九州北部の豪雨は、29名以上の死者を出す大災害となってしまいました。亡くなられた被災者の方々には、心よりご冥福をお祈りいたします。以前にも「極端な気象現象」(Extreme Weather)として、このような自然災害が地球温暖化による気候変動の一端であることとの記事を掲載させて頂いたことがありますが、今回の豪雨はどうだったのでしょう。

 

そもそも、雨や雪の元になっているのは、大気中にある水蒸気です。水蒸気を含んだ空気が上昇すると、上空で空気の温度が下がって水蒸気を含み切れなくなり、余分な水蒸気が空気中のチリなどの核にくっついて、水になって落ちてくるのが雨です。地球温暖化が進み、大気の温度が上昇すると、空気中に含むことのできる水蒸気の量は大きくなるので、極端な豪雨の発生数は増えてしまうのです。

 

では、このような大気中の水蒸気の量を把握し、気象予報や防災に役立てることはできないのでしょうか。国立研究開発法人海洋研究開発機構にはGPSの衛星から発信される電波の受信記録を分析することで、地上の気温と水蒸気の量を把握する研究をされている方がいらっしゃいます。技術研究員の藤田実季子さんらのグループでは、大気中の水蒸気量が多いとGPS衛星から地上に届く電波に遅れが生じることを利用して、1996年から2010年に全国約1200か所で記録されたデータを分析しました。もともと、国土地理院が地殻変動を観測する目的で全国に配置していたGPS受信機だったのですが、地上で観測した1日の平均気温が1度高くなると上空の水蒸気量は11%から14%の割合で増えていることを発見されたそうです。その割合は理論値よりも大きかったようで、実際の地上の気温が上がり、上昇気流が活発になって、地表付近の湿った空気が上空まで運び上げられていることが判明したのです。さらに、水蒸気を限界まで多く含んだ空気が上空に昇る時は、その過程で熱を発するので上空の気温が下がりにくくなってしまい、さらに多くの水蒸気が空気中に含まれてしまっていることも分かったのだそうです。

moisture
 

このように新しい技術を導入することで、昔からある集中豪雨の起きるシステムについても改めて見えてくることもありますが、そこで得られた知見を防災や減災に役立てられるようにしていきたいですね。


環境問題・保護ランキング