2007年、元アメリカ副大統領アル・ゴア氏にノーベル平和賞が授与されたのをご記憶でしょうか。第79回米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した「不都合な真実」を製作し、環境問題の啓発に貢献したことが高く評価されたのでした。そして今年開催された第30回東京国際映画祭のクロージング作品が、続編の「不都合な真実2 放置された地球」でした。ゴア氏はこれに合わせて来日し、ハーバード大学時代にルームメイトだったコンペティション部門の審査委員長を務めた俳優のトミー・リー・ジョーンズ氏と舞台挨拶の舞台に立ちました。

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この作品ではゴア氏が地球温暖化について語り、2015年に開催された第21回の気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定が採択された様子が映し出されている一方、協定から離脱することを宣言したドナルド・トランプ大統領の演説が映し出されています。そして地球温暖化への警鐘を鳴らした前作から10年の時を経た現在の地球の現実を映し出していきます。

 

北極と南極の両方の海氷の大きさは201611月の観測で記録的な縮小を更新しました。グリーンランドだけで毎年平均2,500億トン以上の氷が失われているといいます。氷河が解けるにつれて世界中で海面が上昇し、低い土地に住む何百万人もの人々は洪水のリスクにさらされます。海面上昇の進み方を正確に予測するのは科学的に難しいようですが、今のままの傾向が続けば、地域によっては今世紀中に約2メートルも海面が上昇すると予測している研究者もいます。

 

海面が上昇すると陸地に生息する生物は生息地が減少するので、2050年までにその25%が絶滅する可能性があります。気温の変化に対応しきれない生物が絶滅すると遺伝的多様性が失われていきます。多様性が失われると、自然界のバランスも損なわれてしまいます。デング熱やジカ熱といった感染症の脅威を我々の身の回りで耳にするようになったのも、蚊などの媒介する生物が高い緯度の土地でも繁殖できるようになってきた気候変動によるのです。

 

スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでは「気候変動が世界経済への唯一かつ最大の脅威である」と宣言されました。国連は気候変動によって1,500万人が家を失って世界中で深刻な難民問題が生じると予測しましたが、「不都合な真実2」の中では気候変動が経済的にも政治的にも要因となって、ヨーロッパの均衡が崩れるだろうとしています。

 

多くの科学者たちは気候変動による破壊的な影響を避けるためには、二酸化炭素濃度のレベルを350 ppm未満に下げるよう提唱していますが、2016年の二酸化炭素の世界平均濃度が403.3ppmとなって過去最高を更新したというニュースが流れたのはつい先日のことです。2015年より3.3ppmも上昇して増加が止まらない状況です。なぜなら、2016年の時点の集計で、地球上で排出されるエネルギーの81%は依然として炭素燃料に頼っているからです。


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