皆さんもご存じのスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんがオンライン会合「ダボス・アジェンダ」に参加して、各国政府などが地球温暖化対策として設定している目標は「曖昧かつ不十分」だと批判しました。

このオンライン会議は、スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム(WEF)」が主催したもので、これに参加したグレタさんは、世界各国が掲げる温室効果ガス排出量の削減目標について、その実現に悲観的であるとの見解を表明しました。長期的に設定された削減目標は「自宅が燃えているのに消防署への連絡を10年も20年も30年も待つようなものだ」と指摘しました。温暖化を真の危機として扱わない限り、十分な変化は得られないと主張しています。

グレタ・トゥンベリ

さて、ある意味で若い世代の意見を代表しているとも言える彼女の見解と主張について、我々はどのように受け止められているでしょうか。アメリカ合衆国も第46台大統領が民主党のジョー・バイデン氏となり、早速発せられた大統領令でパリ協定への復帰へ大きく舵を切りました。しかし、日本を含む多くの先進諸国の地球温暖化対策は長期的なものばかりです。炭素消費をベースにした現在の経済を急激に変革させれば、既得権との摩擦も生じてしまうため、一定の時間をかけて移行しようというものですが、若い世代の見方は「それでは遅い」というものなのです。

現在の社会を回している大人たちが、次の世代の地球に生きる若者たちへ取り返しのつかない負の遺産を残すのか、人間の生き方を大きく変えた成功の実績を残すのかが問われているのでしょう。次の世代は、地球温暖化のポイント・オブ・ノー・リターン(帰還不能点)に間に合うようにブレーキを踏んでくれと叫んでいるのです。