花粉症に悩まされる方々が多いこのシーズンですが、大陸からの黄砂が追い打ちをかけてくる時期でもあります。中国の気象局が発表したところによると、昨日3月15日には過去10年間で最大規模の黄砂が発生しているといいます。モンゴル南部のゴビ砂漠の一部で非常に強い風が吹いたために、砂が大量に巻き上げられたことが原因のようです。今日以降、日本にも黄砂が到達し、観測されることが予想されます。

 

黄砂は、強い風によって大気中に舞い上げられ、発生した地域周辺の生活環境や農業生産に重大な影響を与えます。大陸から輸送されてくる間、大気中に浮遊している間に大気汚染物質を吸着してアレルギー反応を誘発して呼吸器系の疾患の原因になります。また、黄砂の粒子が核となって雲が発生して降水につながることもあるので、地球全体の気候にも大きな影響を及ぼします。


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そもそも黄砂とは、中国大陸の内陸部にあるタクラマカン砂漠やゴビ砂漠、黄土高原などの乾燥した地域で、土壌や鉱物粒子が風によって数千メートルの高さにまで巻き上げられた後、偏西風に乗って中国や韓国、日本はおろか、遠くはアメリカ西海岸まで飛来する現象のことをいいます。

 

黄砂はこれまで自然現象であると理解されてきましたが、近年はその発生頻度が多くなり、被害規模が大きくなっていることから、中国大陸の内陸部で深刻化しつつある過放牧や農地転換が、土地の劣化、森林減少、砂漠化を招いてきたことも、黄砂現象を加速させている一因と考えられるようになってきています。

 

日本の場合、黄砂が主にやって来る時期は2月から5月の間のことが多く、ピークの時期は西からの風が強くなる春先の今くらいです。桜の開花が観測史上最も早くなっている今年の気象を考えると、例年4月くらいにピークになるのが、今年はそろそろやって来るぞといったところでしょう。地理的な位置関係から、首都圏など東日本よりも、九州北部や山陰地方といった、大陸に近い地方の方が多く観測されます。

 

車のボンネットの上にも堆積する黄砂ですが、乾いた布でふき取ると傷がついてしまいますので、優しく水洗いで落としてあげてください。人間は、マスクとゴーグルで防御ですね。

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