2021年5月、フランスの政府と化学・材料戦略委員会が、化学分野の脱炭素ロードマップを公表しました。ロードマップは、化学分野における温室効果ガスの排出量を2030年までに2015年比で26%削減するとしています。また、エネルギー効率の改善、エネルギー供給の低炭素化、一酸化二窒素(N2O)やハイドロフルオロカーボン(HFC)の排出削減などのように、これまでに確立してきた低炭素技術で、目標とした削減を達成できると道筋も示しています。

フランスは、これまでに産業全体の温室効果ガス排出量を2030年までに2015年比で35%削減する目標を「国家低炭素戦略」(SNBC)で掲げてきていて、化学分野の排出削減が全産業排出量の約25%を占めているので、全体の目標達成に不可欠な状況にあります。今回発表されたロードマップでは、SNBCの達成に向けて更に必要になる新技術として、水素の低炭素生産、二酸化炭素(CO2)の回収、貯留、利用などの他、産業プロセスの電化などの可能性も示唆しています。

Trajectoire et budgets carbone


さて日本でも、ほぼ同程度の温室効果ガスの排出量削減義務を負っていますが、フランスのように具体的な技術的ロードマップは示されているでしょうか。これだけ大きな産業変換を実現するには、しっかりとした科学的な道しるべが必要ですよね。