昨年11月2日、国際的NPOのClimate Action Network(気候行動ネットワーク)は、再び日本に「化石賞」を授けました。岸田首相がスコットランドのグラスゴーで開催された国連気候変動会議(COP26)での演説で、東アジアを支援する名目で化石燃料を燃焼させる発電所を利用すると表明したことが受賞の理由とされています。多くの環境保護団体が、日本に対して「化石燃料の悪夢」を作るのではなく、2030年までの石炭の段階的廃止と具体的な気候変動への取り組みを進めるよう求めています。

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COP26で岸田首相は既存の化石燃料プラントにおける石炭と天然ガスの燃料をアンモニアと水素に置き換えることによって「ゼロエミッション」施設に移行させるため、日本が1億ドル(113億円)規模で先駆的な事業を展開すると述べました。それに先立つこと10月には、日本の内閣が「基本エネルギー計画」を承認し、日本は2030年度までに化石燃料ベースの電力の比率を約40%に削減するけれども、2050年までは電源として依存し続けるとしていたのです。

さらに6月には、G7サミットで「排出削減策」を採用していない石炭火力発電技術の輸出支援を停止することに合意してきたものの、国際的には炭素の回収、使用、貯蔵にのみ適用されると理解されている「排出削減策」に対して、日本は「明確な定義はない」としてきたのです。

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この一連の流れを受け、COP26に参加したNPO「気候ネットワーク」の理事長 浅岡美恵さんは、日本は排出削減策の「明確な定義」の欠如を利用して「曖昧な何か」を導入しようとしていると発信しました。「アジアの脱炭素化への道は危機に瀕している」とコメントしています。

過去の日本が発表してきたエネルギー方針を見れば、今回の岸田総理大臣の演説が何を誤魔化そうとしているのかが透けてわかってしまったのですね。それこそ、日本が再び「化石賞」を受けてしまった理由なのです。