このところ連日、ウクライナに侵攻してきたロシア軍のニュースが大きな時間を割いて報道されいますが、現地からSNSなどを経由して送られてくる凄惨な映像などに心を痛められている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、ウクライナの人たちがナゼこれほどに大国の横暴に抗うのかが分からないという方も少なくないとのことですので、今日は関連する2つのドキュメンタリー映画をご紹介します。

1本目は...
『チェチェンへようこそ -ゲイの粛清-』
(2020年製作) 製作国:アメリカ・イギリス 上映時間:107分
監督 デビッド・フランス

welcometochechnya

ロシアのチェチェン共和国ではLGBTQの人々は政府当局に弾圧されていますが、そのような人々を国外に逃亡させるために命懸けで立ち向かう活動家グループを追ったドキュメンタリー映画です。チェチェン国内では、ゲイやトランスジェンダーの人々は当局が関与する拘束や拷問への恐怖に怯え、息を潜めて暮らしています。彼らを脱出させるために活動家たちは秘密裏に危険な仕事に奔走していますが、作品中では彼らが直面する困難と日々の地下活動をゲリラ撮影の手法で記録しています。
チェチェンの首長は、ロシアの子飼いであるラムザン・アフマドヴィチ・カディロフ氏ですが、当時ロシアの首相であったプーチン氏と組んで二人とも紛争を弾圧したことで評価を上げてきた経緯があります。カディロフ氏はインタビューでLGBTQについて「そんな人はチェチェンにはいない。いない人間を拘束したり、拷問したりすることなどできない。実際にそんな人がいるのなら、純血を守るためにも、そいつらをカナダにでも追放してやる。しかしその前にわが国では親族がその存在を許さない。それがチェチェンの信念であり、心であり、習慣であり、伝統なのだ。」と発言しています。
チェチェンでは軍隊がゲイの国民を組織的に逮捕、投獄、拷問の上、多数を殺害しているとの報道もあり、国連などの国際機関もチェチェンに対して、ゲイに対する迫害をやめよと非難を表明しています。本作品は国外へ逃亡する人たちの身元が分からないようにフェイスダブル、ボイスダブルと呼ばれる最新のCG技術を駆使して撮影されています。日本では渋谷のユーロスペースで上映されていますので足を運んでみてはいかがでしょうか。
https://youtu.be/OqBn1YTL2gM

2本目は...
『ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い』(Winter on Fire)
(2015年製作) 製作国:ウクライナ 上映時間:98分
監督 エフゲニー・アフィネフスキー

winteronfire

ウクライナで2013年から2014年にかけて起こった公民権運動を93日間にわたって記録したドキュメンタリー映画です。はじめはEU統合を支持する平穏な学生デモとして始まった運動が、やがて当時の大統領の辞任を要求する過激な暴力的な革命へと変貌していきました。ウクライナ全土から100万人近い市民が結集して、表現の自由を抑圧しようとした当局に対して抗議運動を展開していった様子が描かれていますが、2014年まで存在していたウクライナ内務省管轄の特殊部隊「ベルクト」が丸腰の市民を鉄の棒で殴ったり、ゴム弾で撃ったりする様子が映し出されています。
この3カ月間続いた「マイダン革命」と呼ばれる騒動は、新ロシア派ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が国外に逃れることで収拾したように見えますが、その後、クリミア半島がロシアに併合されてしまったことは皆さんご存じのとおりです。そして今、ロシアが再びウクライナに攻め込んでゼレンスキー大統領の政権を転覆させ、新たに政権に就かせようとしているのがそのヤヌコーヴィチ元大統領ですから、ウクライナの国民が抗う理由が良く見えてきます。
本作品は、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされていますが、日本ではNETFLIXで観られますのでぜひご覧ください。
https://youtu.be/te6XqAEXJvs