Anton Gafarov2

 

ロシア ソチで開催されている冬期オリンピックも毎日中継で放送されるトップクラスの勝負の数々に多くの方々がテレビやラジオ、インターネットで熱く観戦されているのではないでしょうか。そのような中でもグリーンブルーは、隠れた名勝負、これぞオリンピックの精神だというエピソードをご紹介します。

 

ソチオリンピック211日に実施されたクロスカントリー男子スプリントの準決勝で、ロシア代表のアントン・ガファロフ選手が6人の選手とタイムを競う白熱のレースの中で交錯して、転倒してしまったのです。もんどりうって激しく倒れた後、暫く立ちあがることもできなかったガファロフ選手でしたが、何とか立ち上がると大きく引き離されてしまった先頭集団を追ってゴールへ向けて再び滑り始めたのです。
 

しかし、あまりに激しい転倒であったため、ガファロフ選手の左のスキーは折れてしまっていました。片足ではうまく滑れないため、左足を引きずりながら滑っているうちに先頭集団は既にゴール。それでもガファロフ選手は滑り続けたのですが、そのうち、折れたスキー板が完全に壊れて再び転倒してしまいました。


すると一人のスタッフが駆け寄り、新しいスキー板をガファロフ選手に与えて履き替えさせたのです。再び両足で滑りだすことができたガファロフ選手は、結局、3分近く遅れてゴール。レース中にスキーやストックを交換することもルール上認められていたので記録も残りました。クロスカントリー会場は拍手と喝采の渦となり、最後まで勝負をあきらめずにゴールを目指す姿は、メダル争いを超えた名シーンとなりました。

 

しかし、レース後に更に驚きの事実が判明しました。ロシア代表のガファロフ選手に新しいスキー板を与えたのは、なんとカナダのジャスティン・アズワース コーチだったのです。咄嗟の判断で取った行動を振り返って、アズワース コーチは「苦しんでいる彼を、そのままにしておくことができなかった。」とコメントしています。各国の報道もこれをこぞって取り上げ、インターネット上でも多くの称賛の言葉が寄せられています。


更に驚いたことに、アズワース コーチはカナダが8年前のトリノ五輪で同様の“友情”を受けていたことに言及しました。その時、カナダのスプリント女子チームの選手のストックが折れてしまい、それまで上位を競っていたのにズルズルと後退せざる得ない状況に陥っていたのだそうです。すると、見かねたノルウェーの監督が新しいストックを選手に手渡して、メダル争いに復帰させたのだそうです。


結局、カナダチームは銀メダルを獲得できたのですが、ノルウェーは4位となってしまい、メダルを逃してしまったのです。そして、そのカナダの女子チームの選手の中に、アズワースコーチの奥さんがいたのだそうです。

8年前のトリノでも、今年のソチでも、誰が金メダルにふさわしい行為を行っているのか、人々は知っています。各国報道陣の最も推薦する今回のオリンピックのゲームは、今のところ、このガファロフ選手の参加した予選レースとする報道スタッフが多くなっています。

Anton Gafarov