皆さんが電車に乗ろうとする時、自動改札を通られると思いますが、そこへ非接触型のICカードや携帯電話などを近づけて「ピッ」っとすると思います。では、その自動改札機の上面に非接触型のICカードを近づけるセンサーの面がわずかに傾いているのに気付かれていますか?

実はあの面の傾斜は「13.5度」くらいのものが多いのだそうです。JR東日本が非接触型ICカード乗車券の「Suica」のサービスを開始したのが2001年。当時、Suica用の自動改札機をデザインしたのは東京大学生産技術研究所の山中俊治教授だったそうです。自動改札機のセンサー面は、はたしてどのような形状にすれば誰もがスムーズに通過できて、ICチップの情報の読み取りと書き込みにエラーが起きづらいのか、当時はそんなことも分かっていなかったのです。

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改札機のデザインのベストな形状を見出すために山中教授たちが実験を実施したのはJR田町駅の臨時改札口でした。様々な属性の被験者の方々に参加してもらって2時間にわたって実施された実験では、予想外のことも起きたとか。有人の改札機を通過する時の様にICカードを機械に見せて通ろうとする人まで出た試験では「アンテナ面を少し手前に傾けること」「アンテナ面が光っていること」「触れて下さいと書いてあること」という3つの知見が得られたそうです。

その後も繰り返された試験から得られたICカード読み取りアンテナ面の傾斜は13.5度になったそうです。当初50%近かったエラー率はこの角度を選んだことで1%以下に下がったそうです。この洗練によってJR東日本などからゴーサインが出て、今となっては誰もが知るSUICAが2001年に導入されたのです。

人々が可能な限り自然な動きや状態で使えるように物や環境を設計しすることを追究する人間工学という分野がありますが、鉄道の利用者などは老若男女様々です。人々が正しく効率的に利用できるように周囲の人的・物的環境を整えて、事故やミスを可能な限り少なくするための研究は奥が深いのですね。

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