54年ぶりに再び人類を月軌道へ送り出す歴史的なミッションでアルテミス2号が打ち上げられました。
米航空宇宙局(NASA)の発表によると、アルテミス2号ロケットはアメリカ東部時間の4月1日午後6時35分、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
今回のミッションで打ち上げられた機器は、高さ98メートルの大型ロケット「SLS(宇宙発射システム)」と有人宇宙船「オリオン」で構成されています。オリオンには、指揮官リード・ワイズマン氏をはじめとするアメリカ人とカナダ人の宇宙飛行士合計4名が搭乗しています。
月の探査を目的とした有人宇宙船の打ち上げは、1972年12月のアポロ17号以来、実に半世紀以上ぶり。今回の任務は約10日間にわたって、総飛行距離は約110万キロメートルに達する見込みです。主な目的は、オリオン宇宙船に搭載された生命維持装置の性能確認と宇宙放射線が人体に与える影響の評価です。
宇宙飛行士たちは打ち上げ当日、まず地球低軌道を周回しながら徐々に高度を上げ、その翌日にオリオンのエンジンを点火して月軌道へ向かう予定です。月到達後は、月面から約6,400〜9,600キロメートルの上空を飛行し、これまで詳細な観測が難しかった領域の直接的な観測を行います。ミッション終了後、オリオンは米カリフォルニア州サンディエゴ沖の太平洋に着水して、帰還する計画です。
このアルテミス2号は、再び人類を月面へ送り込むことを目的としたアルテミス計画の一環として実施されています。この計画は2019年に正式発表され、当初は2022年の有人月周回飛行、2024年の月面着陸を目標としていましたが、技術的課題によってスケジュールは度重なる延期を余儀なくされていました。
アルテミス2号も当初は今年2月の打ち上げを目指していましたが、水素漏れやヘリウム流量の異常といった問題が発生し、今回、3度目の挑戦で成功しました。
さらに今回のミッションでは、韓国の技術で開発された小型衛星「K-ラドキューブ」も搭載されています。これは韓国天文研究院によって開発されたもので、地球周辺のヴァン・アレン帯における宇宙放射線を高度別に精密測定する重要な役割を担っています。
昨今では、地球上の環境観測に人工衛星からの画像を利用することが増えました。今回の計画では、宇宙放射線の精密測定が課題ですが、宇宙で行われる研究や技術開発は、我々の生活環境を把握して改善する手法に直結することがあります。そういう意味でも、人類の月探査が新たな段階へと進む中で、アルテミス2号の成果には今後ますます注目が集まりそうです。
